ここでは、賃貸用物件保有時における法人化のメリットとデメリットについて解説します。
高額所得者は検討の価値あり
個人(法人化前)が、保有する賃貸物件から賃料収入を得た場合は確定申告をする必要があります。例えばサラリーマン等の給与所得者が賃貸住宅を保有している場合、収入は給与所得に賃料(家賃)等が加わり、そこから給与所得控除と経費が引かれた金額に対して税金がかかります。
もともとサラリーマンとしての所得が高額な方(高い税率の方)にとっては、賃貸収益がプラスになればそのプラス分が所得に上乗せされ、賃貸収益への税率も高くなります。
こうしたことを回避する手段の1つとして、賃貸物件を保有する法人(=資産管理法人)を設立する方法があります。個人にかかる高い税率と、賃貸物件からの収益にかかる税金を切り離すことができます。
税率、税制度のメリット
法人化のメリットは色々とありますが、なんといっても大きいのは税に関するメリットでしょう。
個人に課される所得税は、累進課税制度が適用され課税対象所得に対して税率は5%〜45%(令和5年度)です。そこに一律10%の住民税が加わり15%〜55%となります。この算出された金額から9.75万円〜479.6万円の控除額が引かれ、税額となります。
課税対象所得が1800万円を超えると計50%、4000万円を超えると計55%とかなり高率がかかります。(復興特別所得税を除く)
一方法人税では、中小企業(資本金1億円以下)の場合、法人税や法人地方税、法人事業税がかかります。しかし、実効税率では所得800万円以下の場合約21%〜約23%、800万円超の場合約33.6%となり、所得税に比べて低くなります。
また、損失の繰り延べ期間も大きくことなります。
ある年に損失(赤字)が発生した場合、個人(青色申告時)も法人もその年に相殺できない分は翌年以降に繰り延べされ、翌年の利益と相殺することができます。その繰り延べ期間は、個人の場合は3年ですが、法人の場合は最長10年です。これも大きな税制度上のメリットです。
他にも色々ある法人化のメリット
税に関してのメリットを紹介しましたが、法人化で得られる主なメリットは下記のような点です。
@ 法人化することにより、相続税対策となります。
不動産収益が法人に入る為、個人資産の増加を防げます。
A 法人名義で生命保険に入ることができます。
法人で生命保険に入ると、一定要件を満たせば法人で(一部)経費算入できます。
B 配偶者やご子息を役員にして給与を支払うことができます。
これにより一族の間で所得分散、税の分散ができます。
C 売却時の短期譲渡と長期譲渡の区別がありません。
高い税率の短期譲渡を気にすることなく、譲渡益は事業収益の一部となります。
D 中小企業倒防止保険や小規模企業共済に加入できます。
中小企業の倒産防止保険は、掛け金満額800万円までですが、100%経費となります。
小規模企業共済は、経営者や役員が積み立てることのできる退職金のようなものですが、こちらも100%経費となり節税効果が高くなります。
法人化のデメリット
メリットの多い資産管理会社の設立ですが、多少デメリットもあります。
まず、設立に際して費用がかかります。株式会社では約25万円の設立にかかる税金(登録免許税他)と、司法書士などへ依頼する場合は報酬を合わせて約30万円ほどです。※合同会社の場合は約半分。
次に、赤字でも法人住民税が7万円かかります。また、最近厳しくなったのが社会保険への加入促進です。会社の規模に関係なく加入義務があります。
さらに、経理業務や決算業務を税理士などに依頼する場合は報酬が必要となります。報酬額は幅がありますが、少なくとも年間20万円以上はかかるようです。
松建設はマンションを建設されるオーナー様に対して、
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吉崎 誠二 Yoshizaki Seiji
早稲田大学大学院ファイナンス研究科修了。立教大学大学院 博士前期課程修了。
(株)船井総合研究所上席コンサルタント、Real Estate ビジネスチーム責任者、基礎研究チーム責任者、(株)ディーサイン取締役 不動産研究所所長 を経て現職。不動産・住宅分野におけるデータ分析、市場予測、企業向けコンサルテーションなどを行うかたわら、テレビ、ラジオのレギュラー番組に出演、また全国新聞社をはじめ主要メディアでの招聘講演は毎年年間30本を超える。
「不動産サイクル理論で読み解く 不動産投資のプロフェッショナル戦術」(日本実業出版社」、「大激変 2020年の住宅・不動産市場」(朝日新聞出版)「消費マンションを買う人、資産マンションを選べる人」(青春新書)等11冊。多数の媒体に連載を持つ。
レギュラー出演
ラジオNIKKEI:「吉崎誠二のウォームアップ 840」「吉崎誠二・坂本慎太郎の至高のポートフォリオ」
テレビ番組:BS11や日経CNBCなどの多数の番組に出演
公式サイト:http://yoshizakiseiji.com/
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