建物・土地活用ガイド

2023/05/24

企業の用地売却と用地購入を考えた時、どんな企業に相談すればいいのか?

企業が所有している不動産を活用するタイミングはどんな時なのでしょうか?
また、不動産を購入しようと思うタイミングはどんな時でしょうか?
こうした状況の時、どんな企業に相談すればいいのでしょう。

産業のライフサイクルと所有不動産

時代の流れをとらえること、社会の要請に応えること、「あったらいいな」を実現することなどにより産業は興ります。

産業のライフサイクルは、
産業として勃興・成立する時期=導入期
有望産業として注目されいろんな企業が参入、創業する時期=成長期
産業が最盛期を迎える時期=成熟期
安定から徐々に停滞する時期=衰退期

という一連の流れをたどります。

産業のライフサイクル

導入期の後半までは産業に携わる企業は徐々に増え、次第に頭打ちとなり、その後衰退期を迎えると事業撤退する企業が増え、吸収合併なども起こります。

産業のライフサイクルが進む中で、とくに導入期以前からの参入企業は、獲得した利益をコア不動産※へ向ける企業が多く見られます。さらには、収益性のあるノンコア不動産※に投資(=購入)する企業も見られます。産業のライフサイクルが進んで行く中で企業が収益性を上げ、その収益の一部が不動産資産へ転換される例はとても多いです。

しかし、どんな産業・どんなビジネスにも一企業の努力だけでは抗いにくい「ライフサイクル」と呼ばれる栄枯盛衰の流れがあります。一部の企業は大きくなり、吸収合併を経て強くなる企業も現れます。一方で数多くあった企業は減ってゆき、淘汰が進みます。こうした状況下で、企業には新規ビジネスを始めるなどの事業転換の検討、あるいは事業の撤退や事業売却(M&A)などの選択肢があります。
事業転換では、転換して軌道に乗る(=収益を得る)までには一定の期間がかかります。また、既存ビジネスを撤退・縮小するにしても、次につながる収益を得ておきたいものです。そこで、所有している不動産の活用を検討します。具体的には、事業には影響の少ないノンコア不動産や一部コア不動産の売却などを検討することになります。

一方、成長期の後半や成熟期では、コア不動産の購入を検討する企業が増えます。オフィス、店舗、倉庫…と拡大局面では事業に直結するコア不動産を増やす傾向にあり、「いい用地はないか」と担当者が探し始め、不動産を購入したい企業が増えます。

コア不動産  :オフィス・店舗(含む駐車場)・工場・倉庫などの お金を生む=生産財 として事業に関わる不動産
ノンコア不動産:本業とは関係ない賃貸ビルや賃貸住宅などの不動産

企業の所有不動産の活用で重要な視点

このように企業は、拡大局面や転換局面で所有する不動産をどうするか悩むことになります。企業による不動産の活用(売却・購入・利用転換などあらゆる可能性)を行う際には、以下に述べる3つの視点を抑えておきましょう。
なんらかの不動産を購入する際には、不動産の価値(主に、使いやすさ・利便性の観点と財産としての将来価値の2側面)という「不動産の視点」だけでなく、「経営の視点」、「財務の視点」の3つの視点の組み合わせでの不動産戦略構築が求められます。
経営の視点」はビジネスの今後の計画と見通し、社員の活かし方等が重要な論点となります。また「財務の視点」では、所有不動産取得時の借入残高、各不動産に係る担保設定(抵当権)、企業のバランスシート(BSの状況)が重要な論点です。

経営戦略
自社の強みを活かしながら、市場性、競合との関係を考慮しつつ、中長期の企業成長を考えること。賃料収入のある不動産を所有しているとキャッシュフローの下支えにもなる。

財務戦略
金融機関等からの借り入れや、株式などでの資金調達をどう組み立てるかということ。また、現在の借入状況、これからの本業においての設備投資等を見通し、数か年のキャッシュフローイメージを描きます。

不動産戦略
オフィスビル、工場、店舗物件等の不動産の所有と賃貸ではどちらが自社の現状に適しているのかや、遊休地の活用・売却などの検討。

※詳しくは「企業の不動産戦略=CRE戦略 の概略」の記事をご参考ください。

第4の視点:建築の視点

不動産を売りたい企業や売りたい個人と、買いたい企業や買いたい個人を結びつけるサポートを行っている代表的な企業が「不動産仲介会社」です。
大きな不動産仲介会社には、多くの「売りたい」「買いたい」情報が集まります。不動産仲介会社の主な役割は、売り手に対しては査定を経て売り出し価格を決め、スムーズに満額に近い買い手を見つけることです。
企業が工場や倉庫、店舗、オフィスなどの用地を探している場合には、「売り手」と「買い手」に対して前述の3つの視点でのサポートが必要です。「売り手」は既存建物の解体を含めた残置物の撤去費用を抑えて売却したいですから残置物の撤去まで視野に入れ、加えて「買い手」の企業はとくにその利用方法や「どんな建物を建築するのか」、「該当地は想定している建築が可能なのか」といった「建築の視点」が必要になってきます。

こうして考えれば、企業が既存建物がある物件の売却検討や、何らかの建物を建築する前提で用地購入の検討を行う際には、土地の売り買い」=「土地のマッチング」に「建築の視点」が不可欠だとわかります。不動産(土地)の売買仲介と合わせて「その土地に希望する建物が建築可能なのか」も相談できる企業を選ぶことが重要です。

松建設では不動産売買を含むCRE戦略のご相談も承っています!
売りたい土地と買いたい土地のマッチングはもちろん、賃貸マンションやテナントビルといった収益物件の建築から賃貸と自社の事務所を併用したビルへの建て替え、工場・倉庫の建築など、あらゆる土地・建物のご相談をお伺いします。ぜひ気軽にお問い合わせください。
ご相談フォーム  : https://www.takamatsu-const.co.jp/contact/
お電話でのご相談 : 0120-53-8101(フリーダイヤル)

吉崎 誠二 Yoshizaki Seiji

不動産エコノミスト、社団法人 住宅・不動産総合研究所 理事長
早稲田大学大学院ファイナンス研究科修了。立教大学大学院 博士前期課程修了。
(株)船井総合研究所上席コンサルタント、Real Estate ビジネスチーム責任者、基礎研究チーム責任者、(株)ディーサイン取締役 不動産研究所所長 を経て現職。不動産・住宅分野におけるデータ分析、市場予測、企業向けコンサルテーションなどを行うかたわら、テレビ、ラジオのレギュラー番組に出演、また全国新聞社をはじめ主要メディアでの招聘講演は毎年年間30本を超える。
著書
「不動産サイクル理論で読み解く 不動産投資のプロフェッショナル戦術」(日本実業出版社」、「大激変 2020年の住宅・不動産市場」(朝日新聞出版)「消費マンションを買う人、資産マンションを選べる人」(青春新書)等11冊。多数の媒体に連載を持つ。
レギュラー出演
ラジオNIKKEI:「吉崎誠二のウォームアップ 840」「吉崎誠二・坂本慎太郎の至高のポートフォリオ」
テレビ番組:BS11や日経CNBCなどの多数の番組に出演
公式サイトhttp://yoshizakiseiji.com/

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