建物・土地活用ガイド

2023/08/21

老朽化した自社所有オフィスの建替えはこう考える!

松建設が属する松コンストラクショングループは、19年6月より建替えを行っていた新社屋の完成に伴い、23年6月12日に東京本社をかつての地に移転しました。
東京本社の建替えは、直接的には経年に伴うものですが、グループの一体化、新たな松コンストラクショングループのシンボルとしての側面も持ち合わせており、「社屋の建替え」にはいろんな思いが詰まっていることが感じられます。

今回は、企業が所有する社屋の建替えや移転について考えます。

自社所有オフィスと賃貸オフィスにおけるリスクとメリット

まず、企業とオフィスに関するリスクについてまとめておきます。
賃貸オフィスを借りた場合の主なリスクは、賃料の上昇そして所有者(オーナー企業)の信用不安が起こる可能性リスクです。

メリットはフレキシブルな対応ができることです。社員数の増減、事業規模の変化、環境の変化に柔軟に対応できます。デメリットは使用の自由に制限がかかる事です。例えば、休日や〇時以降の来客対応が難しいなどです。
一方、自社所有自社使用の場合の主な所有リスクは、経年劣化(老朽化)、地震などの災害、不動産価値の低下などです。使用のリスクは上記の賃貸オフィスのメリットの逆で、フレキシブルな対応が取りづらいということです。
メリットとして最も大きなことは、資産価値があり担保性があること、そして市況により資産価値が上昇する可能性があることです。自社所有の場合、例えば休日や夜間の利用などビジネス形態に合わせて自由に使用できるところもメリットでしょう。

自社所有がいいのか、賃貸オフィスがいいのかの判断は難しく、その企業のビジネスモデルや信用度、その他不動産市況にもよるでしょう。

ここからは、企業が自社所有自社使用しているパターンに絞って解説していきます。

老朽化リスク

「自社所有リスク」の1つとしてあげた経年劣化(老朽化)は、自社所有・自社使用における最も大きなリスクと言えます。しかし、どんな建物でも経年劣化は避けられず、ビルの持つスペックも相対的に低下します。耐震基準の変化などにも対応が求められます。また、万が一大きな災害に見舞われた時には、大きな痛手を負うこともあります。このような災害リスクへの対応を常に求められ、損害保険料もばかになりません。

古い自社オフィスによるディスアドバンテージ

自社所有オフィス老朽化のネガティブな影響(=リスク)は、建物の物理的な事柄だけではなく、多岐にわたります。
例えば、採用におけるディスアドバンテージが分かりやすいでしょう。新卒、若手中途採用といった20〜30歳台の応募者は、「カッコイイオフィスで働きたい」という思いが強いのではないでしょうか。他にも、オフィスの古さや使いにくさに自社で働く社員のモチベーションが低下する可能性もあります。最新鋭のビルに入居している他社へ訪問して、自社オフィスに帰社した時に抱く思いはどんな感情でしょうか。
また、営業成果にも影響があると言われています。やはり新しいオフィスの方が来客者(社)の方への印象が良く、「何か新鮮さを感じる提案が出てきそう」というイメージを抱かせます。

自社所有オフィスの経年劣化が進むと、どのタイミングで建替えを検討するか、または大規模なリノベーション工事で対応するのか、判断が求められます。これは建物的な判断だけでなく、財務状況、経営の見通し、その他あらゆることを加味して検討すべきことです。

建築中の移転先賃貸オフィス選びの難しさ

自社所有のオフィスビルを建替え検討する場合、取り壊しから建築する間に仮移転するビルを探す必要があります。ほぼ同サイズのオフィスが望ましいと思いますが、なかなかタイミングよく、希望のエリアに希望の広さの賃貸オフィスは出てこないものです。また、建替え完了までの一定年数(松コンストラクショングループの場合は、約3年)に限った賃貸オフィスですので、それもオフィス探しの難航の要因となります。
老朽化した自社所有オフィス、経年劣化が目立つようになってきたビルを所有するオーナーの方は、「今すぐ」アクションをおこさないとしても、事前に信頼できるパートナー企業に相談しておくといいでしょう。早め早めの相談が良いことは間違いありません。

以上、ご参考ください。

松建設では不動産売買を含むCRE戦略のご相談も承っています!
仮移転先から建築用地のお困りごと、賃貸と自社の事務所を併用した収益ビルへの建替え、工場・倉庫の建築など、あらゆる土地・建物のご相談をお伺いします。
「実績が見たい」など、ぜひ気軽にお問い合わせください。
ご相談フォーム  : https://www.takamatsu-const.co.jp/contact/
お電話でのご相談 : 0120-53-8101(フリーダイヤル)

吉崎 誠二 Yoshizaki Seiji

不動産エコノミスト、社団法人 住宅・不動産総合研究所 理事長
早稲田大学大学院ファイナンス研究科修了。立教大学大学院 博士前期課程修了。
(株)船井総合研究所上席コンサルタント、Real Estate ビジネスチーム責任者、基礎研究チーム責任者、(株)ディーサイン取締役 不動産研究所所長 を経て現職。不動産・住宅分野におけるデータ分析、市場予測、企業向けコンサルテーションなどを行うかたわら、テレビ、ラジオのレギュラー番組に出演、また全国新聞社をはじめ主要メディアでの招聘講演は毎年年間30本を超える。
著書
「不動産サイクル理論で読み解く 不動産投資のプロフェッショナル戦術」(日本実業出版社」、「大激変 2020年の住宅・不動産市場」(朝日新聞出版)「消費マンションを買う人、資産マンションを選べる人」(青春新書)等11冊。多数の媒体に連載を持つ。
レギュラー出演
ラジオNIKKEI:「吉崎誠二のウォームアップ 840」「吉崎誠二・坂本慎太郎の至高のポートフォリオ」
テレビ番組:BS11や日経CNBCなどの多数の番組に出演
公式サイトhttp://yoshizakiseiji.com/

疑問に思うこと、お困りごとなど、まずはお気軽にご相談ください

  • ご相談・お問合わせ
  • カタログ請求

建築・土地活用ガイド一覧へ