建物・土地活用ガイド

2023/09/12

企業が使う土地は、どうやって探すのがベストか?

企業が社屋の移転や工場の新設など、「新たに 建設用地=土地 が必要」という場合、どんな会社に相談するのでしょう。
ぼんやりとした計画段階ならば、
 1) 通常付き合いのある銀行
 2) 担当している税理士など士業
 3) 自治体などへの相談
 4) 顔の広そうな知り合い
といったところでしょうか。

もう少し計画が進んで、ある程度のイメージが付いているとすれば、
 5) 不動産流通業(いわゆる仲介業社)
 6) 付き合いのある建築業者
に相談するなどより具体的な動きになるでしょう。

1〜4は「そのうち、いつか」と軽い感覚で、企業からすれば「何かいい話があれば」というニュアンスです。本業と少し距離があるので、相談後に「積極的に営業されることはない」お付き合い先への相談です。また、自治体など行政機関が新たな商業用地の開発を推進・計画していることもあり、特に地方都市で多く見られます。
一方、5〜6の業者へ相談すれば、ズバリ本業なので積極的に活動してもらえます。ですが、仮に条件が合わない場合など、なかなか断りづらそうです。

仲介業者への相談するのか、建築会社に相談するのか

そもそも不動産流通業(仲介業)の主な役割は、売買においては「売り手」と「買い手」のマッチングで、借地などでは「貸し手」と「借り手」をマッチングさせることが生業です。ニーズの聞き取りや物件情報の収集から始まる営業活動を経て、土地の権利(所有権・賃借権)の移転が成立しなければ、フィー(仲介手数料)をもらうことができません。そのため、積極的に物件探しを行ってもらえます。
しかし近年、特に大都市部では売却予定の土地情報が少なく、依頼してもなかなか適切な情報を得ることが難しいようです。また、用途が自宅や集合住宅の場合、立地や広さ、土地形状、その他で大まかに建物をイメージできますが、社屋、商業施設、倉庫、工場など企業が生産活動(=企業活動)を行うための建築物では、「どんな建物を建てるか」の大まかなイメージが湧かないと、立地や広さ、形状だけではそれにふさわしい土地(=適地)かどうかの判断が付きにくくなります。
事業会社の土地探しは新たな事業展開の為の建築が前提のため、「どんな建物イメージか」を先に建築会社と打ち合わせをして、それに適した土地を探す、という順序がスムーズだと思われます。

建築系業者への依頼

建築業者は、営業活動の結果として建物の建築工事請負契約を結んで初めて成果となります。
つまり、建築を検討している企業があったとしても、相応しい土地がない限り請負契約が結べません。そのため、松建設をはじめ昨今の大手建築会社は、土地探しを合わせて行うことが多くなっています。特に、地主様との関係が深い建築会社、地域密着型の営業展開を行っている建築会社では、土地情報が多く入ってくるようです。
「事業会社の土地探しは、まず建築会社に相談する」がベターだと思われます。

未公開情報

先に述べたように近年ますます土地の売却情報が少なくなってきており、「公開された売地情報」はほとんど見られず、水面下での売買交渉が圧倒的になってきました。

土地などの不動産を売却する場合、仲介業者との間で「媒介契約」という物件売却を依頼する契約を結びます。媒介契約は、一般媒介契約、専任媒介契約、専任専属媒介契約の3種類あり、このうち一般媒介契約以外は複数の仲介業者に依頼できない契約です。専任媒介契約は7日以内に、専任専属媒介契約では5日以内にレインズ※へ登録することが義務化されています。
このルールを守っているとすれば、未公開物件は、一般媒介契約の売り出し物件もしくは専属媒介契約や専任専属媒介契約での売り出し物件のうち、レインズ登録までの期間(7日あるいは5日)以内の物件ということになります。

事業会社が求めるある程度の広さの土地は企業が所有者である場合が多いです。公になることを避けたいために信頼関係をベースに媒介契約を結ばず、関係の深い企業に水面下で売却活動を依頼する例が多いようです。

このように考えると「土地探し」は、個人向け用途(自宅やマンションなど)と法人向け用途で土地探し活動が大きく異なると言えます。
企業が土地を探す場合は企業の不動産戦略に強い会社で、なおかつ建築の知識・実績が豊富な会社に相談するのがベストな選択と言えるでしょう。

※不動産取引を安全に適正価格で円滑に行うことができる国土交通大臣から指定を受けた不動産流通機構が運営しているコンピューターネットワークシステム

第4の視点:建築の視点

松建設では不動産売買を含むCRE戦略のご相談も承っています!
売りたい土地と買いたい土地のマッチングはもちろん、賃貸マンションやテナントビルといった収益物件の建築から賃貸と自社の事務所を併用したビルへの建て替え、工場・倉庫の建築など、あらゆる土地・建物のご相談をお伺いします。ぜひ気軽にお問い合わせください。
ご相談フォーム  : https://www.takamatsu-const.co.jp/contact/
お電話でのご相談 : 0120-53-8101(フリーダイヤル)

吉崎 誠二 Yoshizaki Seiji

不動産エコノミスト、社団法人 住宅・不動産総合研究所 理事長
早稲田大学大学院ファイナンス研究科修了。立教大学大学院 博士前期課程修了。
(株)船井総合研究所上席コンサルタント、Real Estate ビジネスチーム責任者、基礎研究チーム責任者、(株)ディーサイン取締役 不動産研究所所長 を経て現職。不動産・住宅分野におけるデータ分析、市場予測、企業向けコンサルテーションなどを行うかたわら、テレビ、ラジオのレギュラー番組に出演、また全国新聞社をはじめ主要メディアでの招聘講演は毎年年間30本を超える。
著書
「不動産サイクル理論で読み解く 不動産投資のプロフェッショナル戦術」(日本実業出版社」、「大激変 2020年の住宅・不動産市場」(朝日新聞出版)「消費マンションを買う人、資産マンションを選べる人」(青春新書)等11冊。多数の媒体に連載を持つ。
レギュラー出演
ラジオNIKKEI:「吉崎誠二のウォームアップ 840」「吉崎誠二・坂本慎太郎の至高のポートフォリオ」
テレビ番組:BS11や日経CNBCなどの多数の番組に出演
公式サイトhttp://yoshizakiseiji.com/

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