建物・土地活用ガイド

2023/10/19

企業が所有する老朽化した社宅の建て替えと賃貸住宅への再生

日本の多くの企業では、企業が所有する社宅や賃貸住宅の管理は総務部、もしくは管理部門に属する部署がしています。
実際の管理や運営については、外部企業へ委託しているようですが、会社側としてはそういった部門が対応しているようです。

今回は、総務部の担当者2人の会話をベースに話を進めてみましょう。

総務部担当者の悩み。老朽化した社宅

担当者A

ウチが所有する社宅も古くなってきたな

社宅って一時期多くの企業が止めたけど、また見直されてきているみたいですね

担当者B

担当者A

でも、ウチの社宅は古いから、新入社員もなかなか入居したがらないようだよ

建て替えや改修する企業も増えているようですね
でも、建て替えとか改修工事をすると、かなりのお金がかかりますよね

担当者B

担当者A

ウチのような事業会社には不動産や建築に詳しい人もいないし、
そもそもどんな企業に相談すればいいんだろうね

古くなった社宅の扱いをどうするか、普通の企業では自社内で対応するのは難しいものです。その一方で、総務部の担当者が普段からお付き合いのあるのは、オフィスビルの賃貸や社員向けの賃貸などで取引のある不動産会社だけ、ということが多いのではないでしょうか。建築・建設系の企業と普段からお付き合いのある事業会社は少ないと思われます。

増える、企業が所有する賃貸住宅

先日見た資料では、企業が社宅以外の住宅を保有している数が増えているみたいですよ
下のグラフを見るとよく分かりますね

担当者B

法人が所有する「建物敷地」の利用現況別件数と増減の推移
※社宅・従業員宿舎以外の住宅:法人が所有する社宅・従業員宿舎を除く戸建住宅、賃貸住宅、マンションなど。

国土交通省「平成30年法人土地・建物基本調査」より作成

担当者A

そうなんだ。たしかに平成20年(2008年)ごろを境に増えているね

もちろん賃貸住宅経営だけをする会社もあると思いますが、この中には
賃料収入を得ることを目的に保有している遊休地に賃貸住宅を建築する事業会社も多いらしいですよ

担当者B

担当者A

社宅を壊してその土地に賃貸住宅を建築している例もあるんだろうね

かつては「持たざる経営」がもてはやされました。自社ビルを持たない。自社所有店舗を持たない。つまり大きな借り入れをせず、身軽なバランスシートで経営を行うというトレンドでした。しかし、その傾向はリーマンショック後に変わります。
さらに、2013年以降の金融緩和政策で借り入れしやすくなったこともあり、不動産を自社保有する企業が増えました。また、事業用に使う不動産だけでなく賃貸用不動産を所有する企業も増えました。

社宅の建て替えで賃貸住宅へ再生

担当者A

そういえば
『あるメーカーが社宅や倉庫として利用していた中心市街地の土地に賃貸住宅を建築した』
という記事を見たことがあるよ

社宅や倉庫を取り壊して、賃貸住宅ですか…。なかなか思いきった決断ですね

担当者B

担当者A

そうだね
でも、賃貸住宅ということは賃料収入があるから、建築費を超える賃料収入があれば収益が出るよね

賃貸需要がある場所なら、いい感じで収益が出そうですね

担当者B

担当者A

酒造メーカーの社宅の土地は賃貸住宅のニーズが高いエリアにあるようだから…

ウチの社宅も中心部にあるから検討してみてもいいかもしれませんね
古くなって建て替えか改修を考える時期が来ているから、いっそのこと賃貸住宅への建て替えを役員に提案してみましょうか

担当者B

担当者A

じゃあ、さっきのメーカーのことが載っていた記事を渡すから
早速その賃貸住宅を建設した会社に相談してみて!

東京都区内などの人口集中エリアに限らず、地方や郊外でも賃貸住宅需要が期待できる場所に老朽化した社宅を持っている企業は、このように「福利厚生施設として費用の掛かる社宅」から「収益を生み出す賃貸住宅」への建て替えを検討してみるといいかもしれません。
賃貸と併せて他の機能を持たせるとすれば、賃貸住宅併用の社宅や事務所としてプランニングすれば、両方を兼ね備えた物件になります。

老朽化した社宅の対応をどうするか、改修工事、建て替え、賃貸住宅への再生。いろんな検討をしてみるといいでしょう。

松建設は社宅・寮の建築・建替え実績も豊富です!

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吉崎 誠二 Yoshizaki Seiji

不動産エコノミスト、社団法人 住宅・不動産総合研究所 理事長
早稲田大学大学院ファイナンス研究科修了。立教大学大学院 博士前期課程修了。
(株)船井総合研究所上席コンサルタント、Real Estate ビジネスチーム責任者、基礎研究チーム責任者、(株)ディーサイン取締役 不動産研究所所長 を経て現職。不動産・住宅分野におけるデータ分析、市場予測、企業向けコンサルテーションなどを行うかたわら、テレビ、ラジオのレギュラー番組に出演、また全国新聞社をはじめ主要メディアでの招聘講演は毎年年間30本を超える。
著書
「不動産サイクル理論で読み解く 不動産投資のプロフェッショナル戦術」(日本実業出版社」、「大激変 2020年の住宅・不動産市場」(朝日新聞出版)「消費マンションを買う人、資産マンションを選べる人」(青春新書)等11冊。多数の媒体に連載を持つ。
レギュラー出演
ラジオNIKKEI:「吉崎誠二のウォームアップ 840」「吉崎誠二・坂本慎太郎の至高のポートフォリオ」
テレビ番組:BS11や日経CNBCなどの多数の番組に出演
公式サイトhttp://yoshizakiseiji.com/

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