建物・土地活用ガイド

2023/10/27

免震・制震・耐震構造 土地活用でのマンション・ビル建築で有利な構造は?

関東以南の太平洋側地域を中心に大きな影響をもたらすと言われる南海トラフ地震。また、「30年以内に7割の確率で起こる」と政府が発表している首都直下型地震。この首都直下型地震とは、南関東地域のどこか内陸を震源として起こるマグニチュード7クラスの大規模な地震のことを指します。これらの地震は、いつかは分かりませんが「そう遠くない未来」に起こる可能性が高く、特に建物の備えは必須と言えるでしょう。
今回は、建物の耐震性を強硬にする構造の種別とその特徴、そしてそれらが土地活用(建築投資)にどう影響するのかについて解説します。

建築基準法と耐震性

建物の耐震性を担保する法律として、建築基準法の中に建物の耐震性を定める耐震基準があります。現在の建築基準法に基づく耐震基準は1981年6月1日に制定されたもので、それ以前の建物は「旧耐震物件」と呼ばれ震度7クラスの地震に対応していません。そのため政府・行政機関は耐震補強工事を行うことを推進※しています。

※一部補助金制度などがあります。
松建設は建築に係る融資や補助金等の資金に関するご相談も伺っております。ぜひ気軽にお問い合わせください。
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お電話でのご相談 : 0120-53-8101(フリーダイヤル)

耐震基準は大きな地震により甚大な被害が出るたびに見直しが行われています。1995年に阪神淡路大震災が起きた後、2000年に一部が改正され、現在ではいわゆる「2000年基準※」の耐震性が求められます。

※2000年基準は木造住宅に関する改正で、主に基礎が地盤に合っていること、耐力壁の配置のバランス、接合部の金具の取り付けが規定されました。

建築の工法と耐震性

建築物の主な工法には以下のものがあります。

・W造(木造)
・S造(軽量鉄骨造・重量鉄骨造)
・RC造(鉄筋コンクリート造)
・SRC造(鉄骨鉄筋コンクリート造)

※このほかにWRC造(壁式鉄筋コンクリート造)、HPC造(鉄骨プレキャストコンクリート造)など様々な工法があります。

3階建てくらいまでの一般的な住宅では木造がよく見られます。それ以上の高さの住宅やオフィス・店舗などの建物ではS造・RC造・SRC造で建築するのが一般的です。最近はビルなどの高層建築でも木造が採用されることがあるようですが、まだまだレアケースです。

大規模マンションや高層ビルなどで採用されるRC造やSRC造では、居住者や利用者が多いことに加えて、もし倒壊などすれば大惨事となりますので、耐震性を高める構造を採用するのが一般的です。
マンションやビルで採用される耐震性を高める建築物の構造には、内部での揺れの感じ方が少ない順に、「免震構造」「制震構造」「耐震構造」と呼ばれる構造工法があります。

免震構造は安心だが、費用がかかる

免震構造は、建物と地面の間に免震部材(積層ゴムやダンパー)を設置し、建物が受ける地震のエネルギーを吸収する構造のことです。地面と建物が直接触れない構造にすることで、地面の揺れを建物から遮断します。最も揺れを抑える構造ですが費用がかなり高くなるため、大規模な高層ビルやタワーマンションで採用されているようです。

土地活用の視点で見ると、敷地面積の中に建物が建っていない場所(空地:くうち)が多く必要となりますので、敷地に対する建物利用率が低くなってしまう場合があります。この点から見ると投資利回りに注意が必要です。
マンション建築の場合、敷地が広い、高層建築、戸数が多い、などの条件がそろう必要があります。タワーマンションの場合はこのような条件が揃い、1戸あたりの費用が抑えられるので採用されることが多いと考えられます。
例えば、土地活用での賃貸住宅建築で一般的な平均30戸程度のRC造のマンションでは、利回りの観点から免震構造の採用は少ない傾向にあります。
ちなみに、免震構造は縦揺れの地震はほとんど低減しません。

制震構造

制震構造は、建物の柱や梁といった骨組みにあたる部分の主要構造部材に制震装置(車の部品で言うとショックアブソーバーのようなもの)を設置して、地震のエネルギーをその装置が吸収することで建物の揺れを抑える構造です。主要構造部材の損傷を防ぐことにもなります。揺れを防ぐ観点では 免震構造>制震構造 ですが、経済的には制震構造の方が安価です。

耐震構造とコスト感

耐震構造は、他の2つに比べて揺れは大きくなります。地震発生時の揺れは地面から建物内部に伝わり、階が上がるほど揺れ幅(横揺れ時)が大きくなります。(これは大小はありますがほかの工法も同じです。)
耐震構造は補強材を入れるなど壁や柱を強固な仕様にすることで建物自体の強さで地震に対抗する構造です。

新築で建築する場合、免震構造・制震構造に比べて建築コストを抑えることができます。よく見かけるRC造やSRC造の10階〜15階程度のマンションなどでは、耐震構造の採用が多いようです。

こうした理由から、土地活用などで建築するRC造マンション、RC造ビルなどは建築費用と耐震効果の面から、耐震構造を選択するオーナーが多くなっています。

松建設の耐震基準

松建設が手掛けるRC造の物件は、建築基準法で定める地震力よりも15%UPした独自の厳しい設計基準を満たしています。
松建設独自の厳しい設計基準については、ぜひ「松建設の基準」のページをご覧ください。

また、免震構造においては東京都市大学、株式会社モルテンと建築免震構造用の高減衰積層ゴム支承の共同開発を行うなど、防災に力を入れた研究開発を行っています。
※茨城県つくば市にあるTCG技術研究所では、社会インフラの老朽化対策や長寿命化対策・防災・環境技術の開発などに力を入れた研究開発を行っています。
※高減衰積層ゴム支承の共同開発についての詳細はプラスリリースをご覧ください。

吉崎 誠二 Yoshizaki Seiji

不動産エコノミスト、社団法人 住宅・不動産総合研究所 理事長
早稲田大学大学院ファイナンス研究科修了。立教大学大学院 博士前期課程修了。
(株)船井総合研究所上席コンサルタント、Real Estate ビジネスチーム責任者、基礎研究チーム責任者、(株)ディーサイン取締役 不動産研究所所長 を経て現職。不動産・住宅分野におけるデータ分析、市場予測、企業向けコンサルテーションなどを行うかたわら、テレビ、ラジオのレギュラー番組に出演、また全国新聞社をはじめ主要メディアでの招聘講演は毎年年間30本を超える。
著書
「不動産サイクル理論で読み解く 不動産投資のプロフェッショナル戦術」(日本実業出版社」、「大激変 2020年の住宅・不動産市場」(朝日新聞出版)「消費マンションを買う人、資産マンションを選べる人」(青春新書)等11冊。多数の媒体に連載を持つ。
レギュラー出演
ラジオNIKKEI:「吉崎誠二のウォームアップ 840」「吉崎誠二・坂本慎太郎の至高のポートフォリオ」
テレビ番組:BS11や日経CNBCなどの多数の番組に出演
公式サイトhttp://yoshizakiseiji.com/

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