建物・土地活用ガイド

2024/09/18

中小企業の不動産活用は、どのような企業に相談すべきか?

企業の使命は、企業規模にかかわらず、保有する資産を活用して「企業価値の最大化」を図ることです。企業が保有する資産の中でも、特に製造業などの中小企業においては、不動産が占める割合が大きくなります。そこで今回は、このような不動産資産を持つ中小企業の不動産戦略について考えてみましょう。

企業が保有する資産とは?

企業が「保有する資産」には、まず社員(人材)や現金、株式などの財務関連資産が含まれます。資産を形あるものとないものに分けると、形のないものとしては独自のノウハウやブランドが挙げられ、形あるものとしては社屋、工場、店舗、倉庫などの不動産や車両などが含まれます。

特に中小企業が多い製造業、運送業、物流関連業界においては、こうした保有資産の多くを不動産(または車両)が占めていることが多いようです。つまり、中小企業こそ不動産戦略(CRE戦略)の重要性が高いと言えるでしょう

増える企業の不動産含み益

日経新聞8月21日によれば、2023年度の決算開示資料に基づく上場企業が保有する不動産の含み益は約29兆円(前年度比7%増)となり、情報開示義務が施行された2009年度以降で最高額となっています。特に含み益の大きい企業は不動産系企業が多いものの、不動産系以外の業種でも14兆円(29兆円の48%)に上り、過去10年で2倍に増加したと報じられています。これには、インフラ系企業や大規模な自己所有店舗を持つ流通小売業、工場や倉庫を保有する製造業などが目立っています。

この記事は大手上場企業の含み益について書かれていますが、近年の不動産価格の上昇に伴い、上場企業だけでなく不動産を保有する多くの企業においても「不動産含み益」が発生している状況だと思われます。これからは、上場企業や未上場の大手企業でも「含み益を抱えた不動産をどう活用するか」を検討する必要に迫られるでしょう。2024年度の決算発表においても、この点は大きな焦点となると考えられます。特に近年は、アクティビスト(モノ言う株主)の影響力が増しており、多くの不動産含み益を抱える企業に対しては、その対処に関する提案や圧力が強まることが予想されます。そのため、企業は早めの対応が求められます。

中小企業の多くは、創業者やその直系家族、創業家一族が株式を保有しているため、外部のアクティビストからのモノ言いはありません。しかし、内部にもアクティビストのような存在がいる可能性はあります。。

不動産戦略の本質的な目的

いずれにしても、不動産戦略の最大の目的は「企業が所有する不動産を最大限有効に活用する」ことで、「企業価値の最大化」を図ることです。
不動産の有効活用の方法としては「自社で活用する」「売却する」「収益不動産として保有する」などが考えられます。ここで最も重要なことは、不動産の最適化を図るために「精査」をしっかりと行うことです。
そして「不動産をどうするか」を適切に判断し、対応していくことが求められます。
 

中小企業が保有する不動産の精査

中小企業が保有する不動産は大きく分けて、@自社の生産拠点として使用しているもの(例: オフィス・店舗・倉庫・工場など)、A社長一族や関係者が利用していることが多い社宅的なもの、B収益不動産として保有しているもの、C未利用のもの、に分類されます。このうち、@については、必要か不必要か、統合による一部不要、または建て替えといった判断を行う必要があります。

BとCについては、「保有する」ことで企業の収益を最大化できるのか、それとも「売却」することで最大化できるのかを慎重に検討する必要があります。先に述べた「内なるアクティビスト」=身内や親族などからの提言は、特にBやCに関するものが多いと考えられます。

Aについては、中小企業の不動産戦略においてよく見られるものですが、それぞれの事情や過去からの背景もあるため、慎重に精査し、トラブルが生じないように適切に対応することが必要でしょう。

社内の専門家と社外のパートナー企業

企業が不動産戦略を考える際、特に事業会社(=不動産系企業でない場合)では、社内に専門家がいないことが進展を妨げる大きな要因となっているようです。大手企業で多くの不動産を保有している場合、専門部署を設置しているケースもありますが、多くの場合は「総務部」などが兼任で担当しています。もちろん、専門性が低くなるため、その際は外部の専門家に依頼することが一般的です。

つまり、事業会社においてCRE戦略を構築し、具体的なアクションを起こす際に重要となるのは、「どのような企業とパートナーを組むか」という点です。CREのパートナー企業選びについては、さまざまな見解があります。建築に詳しい建築系企業、売却や購入の専門家である不動産流通業者、あるいは金融や財務の視点から金融機関や会計士(または税理士)に依頼するという意見もあります。

どの専門家をパートナーとして選ぶかの判断は、各企業の状況により異なりますが、企業が活用する不動産には必ず建物が伴います。そのため、少なくとも建築に詳しいCRE戦略の専門家に相談することが必要でしょう。

松建設も多数の中小企業に対して不動産活用の提案を行ってきており、ホームページには多くの事例が掲載されています。お悩みの企業様は、一度相談されることをお勧めします。

松建設では不動産売買を含むCRE戦略のご相談も承っています!
事業承継や事業転換によるビル・賃貸マンションの実績も多数ございます。
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吉崎 誠二 Yoshizaki Seiji

不動産エコノミスト、社団法人 住宅・不動産総合研究所 理事長
早稲田大学大学院ファイナンス研究科修了。立教大学大学院 博士前期課程修了。
(株)船井総合研究所上席コンサルタント、Real Estate ビジネスチーム責任者、基礎研究チーム責任者、(株)ディーサイン取締役 不動産研究所所長 を経て現職。不動産・住宅分野におけるデータ分析、市場予測、企業向けコンサルテーションなどを行うかたわら、テレビ、ラジオのレギュラー番組に出演、また全国新聞社をはじめ主要メディアでの招聘講演は毎年年間30本を超える。
著書
「不動産サイクル理論で読み解く 不動産投資のプロフェッショナル戦術」(日本実業出版社」、「大激変 2020年の住宅・不動産市場」(朝日新聞出版)「消費マンションを買う人、資産マンションを選べる人」(青春新書)等11冊。多数の媒体に連載を持つ。
レギュラー出演
ラジオNIKKEI:「吉崎誠二のウォームアップ 840」「吉崎誠二・坂本慎太郎の至高のポートフォリオ」
テレビ番組:BS11や日経CNBCなどの多数の番組に出演
公式サイトhttp://yoshizakiseiji.com/

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