土地は所有するだけでは負債になることも
冒頭で述べたように、日本では「土地持ちは資産を有している」という考えが根づいています。しかし、有効活用せずに土地を所有しているだけでは、資産がプラスになるばかりか、マイナスになってしまうことも考えられるのです。たとえば、都市部のように多くのニーズがある土地であれば幅広い選択肢が考えられますが、田舎にある用途がない土地をずっと所有するだけでは、単なる負債となってしまう可能性もあります。
所有している土地がなぜマイナス資産になる可能性があるかというと、それは税金が大きく関わってきます。最たる例は土地・家など全国のどこでも原則的に課税される「固定資産税」です。土地を所有している場合はこの固定資産税が通常は発生するので、たとえば、住居として住む、賃貸住宅や店舗として貸し出すなどの事業を営んだりしなければ、ただ単に無駄に税金がかさむことになります。
同様に、地域によっては「都市計画税」も課税されるだけに、「今後活用するかもしれない」と悠長に考えていると、どんどん支出ばかりがかさむことになりかねません。そのため、土地をただ所有するだけで有効な活用できていない方の場合は、所有権放棄や譲渡という選択肢も検討すべきでしょう。持てる資産を最大限に活かすためには、土地を所有・活用するだけでなく、適切なタイミングで手放すことも1つの手なのです。
考えておくべき土地の所有権放棄や譲渡
土地は有効活用できれば、資産として大変有益ですが、自身で運用する意思がなければ、将来に向けて所有権の放棄や譲渡も検討しましょう。所有権を放棄・譲渡するためには、具体的に以下の2つの方法があります。
売却 | 自らが有効な活用法が見出せない土地であっても、他の人であれば上手な活用をすることが可能な場合もあります。特に東京や大阪などの都市部の土地であれば、買い手のニーズが大いにあります。 |
---|---|
寄付 | 売却して資産を手に入れられれば最良ですが、売却できないケースもあります。その場合は、土地を寄付することも選択肢の1つです。寄付は主に市町村などの自治体や法人・個人が対象となります。しかし、市町村の場合は土地の管理や整備は自治体の税金で賄われるため、寄付を受けるケースは限定的になります。 |
上記のように土地の所有権を手放すことも土地活用の1つと言えます。特に自身で適切な運用を行うことが難しいケースの場合は、売却と寄付も視野に入れましょう。もちろん、売却によって収益を得られることが理想ですが、土地によってはそれが叶わず寄付が最適の場合もあります。そのため、所有する土地の価値については、あらかじめ把握しておくことが大切です。
今から将来の土地活用のプランニングを
親が所有する将来的に相続の可能性がある土地や、すでにうまく活用できていない土地がある場合は、今から将来に向けてのプランニングを始めましょう。現時点では所有することがさほど問題ないとしても、それが将来的にもそうである保証はありません。さらに、所有し続けることで税負担も強いられるので、場合によっては早めに手放すことも賢明な選択肢となるかもしれないことを覚えておきましょう。
土地は確かに大切な資産ですが、それは有効活用できていることが大前提です。きちんと活用できておらず、所有しているだけではそれこそ負債になってしまうこともあります。そのため、余剰に所有している土地がある場合、または将来的にそうした土地を相続する可能性がある場合は、今のうちから土地活用のためのプランニングをしておきましょう。