建物・土地活用ガイド

2017/08/21

事務所や多目的スペース併設の工場建築

近年、工場や倉庫、物流センターなどの広大なスペースを必要とする作業場において、事務所や多目的スペースを併設するケースが増えてきています。作業に関係のない事務所や多目的スペースは一見すると無駄な空間に思えるかもしれません。しかし、別の場所に事務所を設けたり、こじんまりした事務用デスクを設置したりするだけでは果たせない機能性があります。当コラムでは、事務所や多目的スペースを併設した工場が増えた理由と実益について紹介します。

生産性の高い空間にすることが重要

工場や倉庫、物流センターにはその機能上、広いスペースを要しますが、すべて機能的に活用できているかと言えばそうでないケースもあるでしょう。生産性を高めるために設備や人員をコンパクトに配置すれば作業効率が上がりますが、機能を集約することで活用しきれていない空間が生まれることがあります。スペースの有効活用ができていなければ、施設のポテンシャルを最大限に活かせているとは言えないでしょう。

余ったスペースをメインの作業とは別の形で有効活用できれば、工場や倉庫、物流センターの価値をより高められるかもしれません。工場や倉庫、物流センターを機能的な施設にするためには、設計の時点から事務所や多目的スペースの併設を検討することも1つの手だと言えるでしょう。

既存の工場や倉庫、物流センターなどの施設に新たに事務所や多目的スペースを設けようとすれば、多額の費用が必要になります。さらに計画性のない増築や改築によって、現在の生産性が損なわれる可能性も十分にあるでしょう。だからこそ、設計段階からメインの作業とは別に事務所や多目的スペースなどの併設を考えておく必要があります。

事務所や多目的スペースを併設する意義

事務所や多目的スペースは、工場や倉庫、物流センターにおける作業そのものを行う場所ではありません。そのため、一見すると生産性の向上には寄与しないように思われます。しかし、業界を問わず、どの様な業種においても事務仕事は欠かせないものであり、デスクワークがストレスなく行える場所があれば、事務的な業務の効率アップにつながるでしょう。

また、来客のための立派な応接スペースがあれば、訪れた方の印象も良くなります。施設に対していい印象を持つことで企業そのもののイメージアップにもつながるでしょう。設備が整った快適な環境で会議ができれば、作業場の生産性をアップするアイデアや施策も湧いてくるはずです。このように、スマートに事務作業を行えるメリットは少なくありません。

事務所の他にもスタッフのための多目的スペースを設置することで、休憩や気分転換に気軽に利用できます。多目的スペースの存在によって作業員同士の交流が生まれ、作業の問題点を洗い出す場になれば、作業の生産性向上に寄与するでしょう。そうしたさまざまな意義があるため、スペース利用法の1つの策として事務所や多目的スペースの併設を考えるオーナーが増えてきています。

多機能を備えた施設が今後の主流に

工場や倉庫、もしくは物流センターだからといって作業場しか完備していない施設では、スタッフにとって快適な職業環境とは言えないかもしれません。機械だけが稼働するのではなく人間が働く以上、多機能空間であった方がスタッフのポテンシャルを最大限に引き出すことにつながり、ひいては生産性の向上が期待できます。

大きなスペースを必要とする工場などの大型生産施設では、有効的に活用できていないスペースも存在するはずです。しかし、それらのスペースを事務所や多目的スペースの併設などによって、単に作業をするためだけではない多機能な設備を持った先進的な作業場となることが期待できます。今後はさらに多機能なスペースを併設した工場や倉庫、物流センターが主流となるでしょう。

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