建物・土地活用ガイド

2021/12/23

土地オーナーの為の税の基礎知識「意外に見落としがちな印紙税」

土地オーナーの為の税の基礎知識の4回目は、印紙税についてです。
建物建築の契約書(建築請負契約)を交わすときには、収入印紙を貼る必要があります。
例えばRC造のマンションでは一般的な5億円超〜10億円以下の工事を発注する時の契約書には、20万円(現在は軽減税率適用のため16万円。詳しくは後述します。)の印紙を貼らなければならず、なかなかの金額を納めることになります。今回は意外に金額が大きく忘れがちな印紙税について、土地活用・建築・賃貸住宅に関する内容をお伝えします。

印紙税とは何か?

土地や建物といった不動産を買う時に交わす「売買契約書」や建物を建てる時に交わす「建築請負契約書」には、収入印紙を貼らなければいけません。この収入印紙を購入し、貼り付け、印鑑(割印)などを押すことで印紙税を納入したことになります。

建物の建築請負契約(例えば、所有する土地に賃貸住宅を建てるケース)では、松建設のような建築会社とかわす契約書(建築請負契約書)に印紙を貼ることになります。
契約書は2通(メーカー保存用とお客様保存用)用意するのが一般的です。その1通の契約書に貼る収入印紙は請負う側(=建築会社)が用意し、もう1通用の収入印紙は発注者(=お客様)が用意します。収入印紙は通常郵便局などで購入でき、役所や法務局でも売っています。最近ではいくつかの金額分の収入印紙が、一部コンビニや金券ショップでも売られているようです。

印紙税は @ 不動産譲渡にかかる契約書
A 請負にかかる契約書
B 継続取引の基本となる契約書
C 金銭や有価証券の受領書
にかかるとされています。

@ 不動産譲渡にかかる契約書は、例えば土地を購入した際など、不動産の売買契約書を交わすとき、また所有する土地を賃貸する場合の賃貸借契約書や賃貸住宅の部屋を貸す賃貸借契約書にも印紙を貼る必要があります。この際の印紙税=収入印紙の代金ですが、1万円未満の取り交わし契約書の場合は必要ありません(=非課税)が、1万円以上の場合、200円〜の印紙が必要です。
現在(平成26年4月1日〜令和4年3月31日まで。延長の可能性もあります。)、10万円を超える不動産譲渡契約に関する契約書に貼る印紙については、軽減税率が適用されています。例えば1億円の不動産譲渡契約では、本来は6万円の印紙が必要ですが、軽減税率適用では3万円となっています。(詳しくは国税庁のHPをご覧ください。)

A 請負にかかる契約書は、冒頭の例にあげた建築請負契約書に必要なものです。こちらも1万円未満の契約書の場合は必要ありません(=非課税)が、1万円以上の場合、200円〜かかります。
現在(平成26年4月1日〜令和4年3月31日まで。延長の可能性もあります。)、10万円を超える不動産譲渡契約に関する契約書に貼る印紙については、軽減税率が適用されています。例えば10億円の建築請負契約では、本来20万円の印紙が必要ですが、軽減税率適用では16万円となっています。この軽減税率は、工事内容変更の契約、追加工事、建築工事に付随する設計契約※などにも適用されます。(詳しくは国税庁のHPをご覧ください。)

※設計契約のみで契約する場合は請負工事とならず、軽減税率は適用できない。設計と工事を含めて一通りの契約にする場合は適用できる。

B 継続取引の基本となる契約書は本頁に関係がほとんどないため割愛します。

C 金銭や有価証券の受領書も土地活用や建築には関係ありませんが、例えば賃貸経営をはじめると、いろんなものを購入する必要や打ち合わせでの会食があるかと思います。このような、飲食や何かを購入した際などに発行される領収書や有価証券などの受領書に貼る印紙です。5万円以下は不要(=非課税)で、200円〜20万円かかります。ただ、紙での領収書をもらわなければ、あるいはカードでの支払いならば領収書に印紙は不要というルールになっています。

以上、建築や土地活用、賃貸経営に必要な印紙税について解説しました。ご参考ください。

吉崎 誠二 Yoshizaki Seiji

不動産エコノミスト、社団法人 住宅・不動産総合研究所 理事長
早稲田大学大学院ファイナンス研究科修了。立教大学大学院 博士前期課程修了。
(株)船井総合研究所上席コンサルタント、Real Estate ビジネスチーム責任者、基礎研究チーム責任者、(株)ディーサイン取締役 不動産研究所所長 を経て現職。不動産・住宅分野におけるデータ分析、市場予測、企業向けコンサルテーションなどを行うかたわら、テレビ、ラジオのレギュラー番組に出演、また全国新聞社をはじめ主要メディアでの招聘講演は毎年年間30本を超える。
著書
「不動産サイクル理論で読み解く 不動産投資のプロフェッショナル戦術」(日本実業出版社」、「大激変 2020年の住宅・不動産市場」(朝日新聞出版)「消費マンションを買う人、資産マンションを選べる人」(青春新書)等11冊。多数の媒体に連載を持つ。
レギュラー出演
ラジオNIKKEI:「吉崎誠二のウォームアップ 840」「吉崎誠二・坂本慎太郎の至高のポートフォリオ」
テレビ番組:BS11や日経CNBCなどの多数の番組に出演
公式サイトhttp://yoshizakiseiji.com/

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